【読んだ】藤井聡『新幹線とナショナリズム』

新幹線とナショナリズム (朝日新書)
■この人の事よく知らないで読んだんですけど、安倍政権の参与やってた人で、その時に書いた本なんすね。なのでマニュフェスト本的な書き方なんですけど、今って「政治的な説得」を成立させるための論理を構築するのって本当に難しいんだな、と感じた。内容は今時珍しい公共事業によるインフラ整備論で、まずは新幹線事業の歴史を見つつ、当初は旗色が悪かった新幹線事業の開発の成功には所謂「健全なナショナリズム」が機能を果たしていたという話をしつつ、現代においてもリニア新幹線整備新幹線ガンガンやるべき、と。

■で、「震災もあったし南海トラフ地震も確実に起こるし、今もナショナリズム煽れるんじゃね?」とか比較的あけすけに言っちゃう感じ。もちろん公共事業もナショナリズムも散々批判されてる事は折り込み済みで、むしろそれを肯定する論理こそを期待したけど、正直書かれている内容はかなり厳しいと感じた。あるいは震災と、震災対応に対する民主党批判が吹き上がってる時期だから書けた話なのかも。それこそ中野剛志とか読めばいいのかね。

■「地域への利権配分とか考えてたら新幹線とかできなかったはずで、国主導でやったからうまくいった」とか、こっそり旧来の自民党イメージも相対化しつつ政治主導を推す感じとかは実は多分ミソなんでしょうね。

新幹線とナショナリズム (朝日新書)

新幹線とナショナリズム (朝日新書)