2015-01-01から1年間の記事一覧

【読んだ】平田オリザ『わかりあえないことから──コミュニケーショ

■コミュニケーションを考える時に、往々にして有用性のみで考えがちだけどそれは違う(もしくはもうそれではやっていけない)よね、と。きちんと政策にコミットしてたり、各分野の知見をくまなく見ていたり、この人はすごくえらい人だなーと思った(みんな言…

【読んだ】東谷隆司『NAKED』

芸術は「ワカッちゃった」人には「ワカる」。しかし、「ワカッちゃった」ことの不幸もある。だから、「ワカる人にだけ、ワカる」だけで、十分なのだ。ときには、「ワカらせる」こと、「ワカろう」とすることが身を滅ぼすことすら、ある。「ワカラナイ」方が…

【読んだ】吉見俊哉『万博幻想―戦後政治の呪縛』

沖縄の行き帰りの飛行機で読んだんだけど、すげータイムリーだった。4つの万博を追って見えるのは、「自民党的な戦後体制がどんどんアナクロニックなものになっているのに、尚それを維持しようとした時に生まれる喜劇的な状況」ですよね。沖縄の基地工事現場…

【読んだ】山本理顕『権力の空間/空間の権力 個人と国家の〈あいだ〉

主張は大変クリアであり、アレントをはじめとして論拠となる理論にも大変勉強させられるのだが、どーーーーーーーーしても、「ド・重鎮の愚痴」に聞こえてしまう。『住居論』は細かい施工例が豊富で「へえ、すげえ、知らなかった!(建築家ってすげー)」っ…

【読んだ】吉見俊哉『親米と反米―戦後日本の政治的無意識』

江藤淳(を経由した白井聡)が指摘する「敗北の否認」って、政治的無意識(©ジェイムソン)のレイヤーでもかなり効いてたんですね、と。親米と反米―戦後日本の政治的無意識 (岩波新書)作者: 吉見俊哉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/04/20メディア: …

【読んだ】稲葉振一郎『経済学という教養』

■名著ですよね。ハイコンテクストな事もやりつつ、普通の意味で経済の言説のマッピングがされてるのでめっちゃ重宝しそう。経済に限らず、各論だけ悪戯にかじってるとレトリックの巧さに引きづられますよね。「専門性への敬意」を噛みしめつつ濫読していきま…

【読んだ】宇沢弘文『自動車の社会的費用』

フリードマンの論敵だけあって近経への批判が主軸。40年近く前の本なんで当然その後の議論も見ないとダメだけど、「トリクルダウンは幻想、ってか負の外部性を考慮できてない」「所得保障は結局ダメ、社会共通資本で行きましょう」「自動車はカス」「っつー…

【読んだ】五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』

そーいや読んでなかったわね的読書。おそらく意識的なんだけども、これまでの社会運動を実際よりも大変に理想的なものとして描いているんだと思う(「成果」の強調が多い事多い事)。しかしそれはアジり書としてはかなり正しいやり方で、煽情的に既存マーケ…

【読んだ】『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』

マクロ経済の話はよくわからんが「リフレ派ぐう無能、産業転換はよ」って文脈で田舎推してる訳で、「田舎暮らし=高付加価値商品=小金持ちの道楽」ってのを割と認めてると思う(し、批判の多くはここを読みはぐってる)。皮肉ではなく「小金持ちの財力で資源…

【読んだ】伊福部達『福祉工学の挑戦―身体機能を支援する科学とビジ

知覚の話から関心を持って読んだんだけど、その辺はよーわからんなーと思った。ただ、書籍の冒頭に「福祉工学の担い手は中小企業かベンチャー」って書いてあって、完全にメイカーズムーブメントの話とシンクロしてるなーと思った。ただ、やっぱりこの分野っ…

【読んだ】大山エンリコイサム『アゲインスト・リテラシー』

作品論をやろうぜ、とゆー事かと。インサイダーもアウトサイダーも、総じてグラフィティに対して硬直した視座ばっかやと。それを対抗(against)するのに持ち出すのが「グラフィティ」と「ストリートアート」の区分けで、前者は様式美的だけど後者は寛容的で…

【読んだ】ロレッタ・ナポリオーニ『イスラム国 テロリストが国家を

■昔イスラエルに興味を持った時に「この話は旧約聖書を読まないと解らない」と言われた事があったけど、イスラム国の話は多分逆で、教典や教義に根拠を見出すと色々見誤る(し、良い迷惑や)と思う。この人達の動機はあくまで野心であって信仰ではないと。だ…