【読んだ】小泉義之『ドゥルーズの哲学』

ドゥルーズの哲学 (講談社現代新書)
■「微分的なもの」というコンセプトについて。「微分的なもの」=「差異を生産する場」であり、現実的ではなく理念的、顕在的なものではなく潜在的である。ドゥルーズ微分的なものののリアリティを掴もうとする時、それは「発生論的な志」を復権することだと。このコンセプトを確認した上で、遺伝子研究や生命倫理哲学史等々に「微分的なもの」を敷衍して論じつつ、結果としてドゥルーズの哲学が帰納的に見えてくる感じかと。他の評者の方も行っていたけど、一見難解に見えるけども決して理解を拒むものではなく、同時にある種の凄みにやられる。

■寧ろ、例えば「生成変化」やら「器官なき身体」やらそういうキー概念を並べ立て、定義を説明していく様なやり方って全くもってドゥルーズ的(=微分的)な発想ではないんですよね。「微分的な感性」というキーワードは常に頭に置いておきたい。

■ちなみにご本人のブログのこれも併せて
Critical Life (期限付き)

ドゥルーズの哲学 (講談社現代新書)

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