【読んだ】森村進『自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門』

自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)
■確認したい事があって読み返したんだが、ジャンプの漫画みたいな本だと思った。最初に勇者たるリバタリアニズムをキャラ設定し、「遺産相続」とか「司法制度」とか「婚姻制度」とか諸々のフィールドに勇者を持ち込み、RPG的に仮想敵(リベラリズム等々)を倒してく感じ。だからどこから読んでもそれなりにスリリングなんだが、ちょっと「箇条書き感」があるのと、あと勝利のロジックが結構強引だったりもする。

■で、肝腎のキャラ設定たるリバタリアニズムの根本理念としては「自己の身体、及び自己が価値創造したものへの所有権」を侵さないという「自己所有権テーゼ」が通底してる。従って自己所有権の権利保護のためであれば、国家等々によるある程度の介入もやむなしとしてる(P86、P196あたり)。

■ただ本文中にもある様にリバタリアリストも一枚岩ではなく、著者自身は結構現実的な線でロジックを立ててると。そもそも以下の橋本務の言及の仕方見ると、自己所有権の捉え方も結構特徴的なのかもとか思う。
https://goo.gl/6v8uHi

■あと、自己奴隷化や環境保護の所の「(自他問わず)未来と現在の権利者は別人格」ってのは結構ユニークなのかも。

自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)

自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)