【読んだ】清水高志『実在への殺到』
▼物凄く大雑把に言って、思弁的実在論、オブジェクト指向存在論、人類学の存在論的転回等々、ここ数年の人文学の潮流は、カント的な主客図式を乗り越えるためにモノと人間の様相(フラットネス)を再考しつつ、主体客体の概念を練り直しているのかと。本書はこの手の話のガイドにもなるのだが、そこに(ラトゥールのANT及び)セールの準-客体論、W.ジェイムズと西田幾多郎の純粋経験論等を接続し、よりラディカルな議論が展開する所が肝かと。これによって多分、主体と客体のそれぞれの流動的な側面が強調されるのかな、とぼんやり理解した。
▼下手の横好きが過ぎるかもしれないけども、昔仏教の解説書を読んだ時に「自我を認知の集合として捉える」というような事が書いてあってそれがとても印象に残っていたのだけど、それと近年の西洋哲学の潮流がどう関連するのか、少し興味がある。
▼多分、単に主客図式を否定するのではなく、主と客をアドホックなものとして流動的なもののして捉える、というイメージかと。
- 作者: 清水高志
- 出版社/メーカー: 水声社
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る