【読んだ】『最後の資本主義』ロバート・B・ライシュ

最後の資本主義
■ストーリーとしては、、、
【1】今のアメリカの市場はルール設定において超富裕層に超有利だと。要はロビイスト雇う金がある激烈少数派がやりたい放題で、例えば著作権70年的な話が国内的にも国外的にも腐るほどあると。結果として、富の配分が上から下ではなく、下から上への流れで起こっとると。はい、階層固定っすね、と。因みに市場と政府って二項対立で考えてもダメで、結局市場の仕組みって権力配分(=政治)に規定されるんやで、と(この辺は少し説明の解像度下げてる感あった)。
【2】能力主義メリトクラシーっていう訳語も一瞬顔をだすけど、勿論日本的な意味ではなく、労働の対価が能力を反映する、位の意味)はもはや幻想やと。それは組合が完全に構造的に骨抜きにされてるからで、それも経済構造の変化ってよりは大企業の意向っすよねと。
【3】全米の中間層よ団結せよ、と(違。とりあえず株主様々モデルとか止めさせて企業のガバナンスちゃんとさせる辺りから始めようか、っていう。
【4】ついでにAIが代替するのってルーティーンワーカーじゃなくてシンボリックアナリスト(©ライシュ先生)なので、大卒とかますますキツいで、BIでも用意しようや、と。

■つまり基本的に「良い資本主義」と「悪い資本主義」という見立てを立てた上て、現状は後者であり、当たり前だけど前者を目指すべき、という事かと。

■上梓されたのが2015年なので、トランプが勝つのよりは前。読んだのは今のアメリカの感じってどんなんなんやろと思ったからなんだが、状況分析というよりは、アメリカ国内中間層の政治的無力感を受けて明確に政治参加を鼓舞してる感じ。運動のベクトルは違えど、OWSとか、あとはエリジウムとかタイムとかちょっと前のハリウッドのSF映画にこんな話多かったっすよね。因みに僕は両者共に映画としてはあまりノレなかったんだけど、正直この本も読み進めるのはツラかった。無論これは読む側の問題で、海外の人がシンゴジラまどマギも全然面白がれない、ってのと同じ感じかと。構造は共有しているけどディテールを共有していない感じ。

最後の資本主義

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